公開前からこれほど期待の大きかった作品は思い当たらない。ボーリング・フォー・コロンバインで強く印象付けられたマイケル・ムーアの語り口。そこには愚直とも思えるぐらい単刀直入に疑問を突き付ける姿勢があり、同時にそれがエンターテイメント作品としてパッケージされ我々の心を捉えた。そしてこの作品がカンヌでパルムドールを獲った時から、この作品に対する期待はいやがおうにも高まる中でとうとう公開初日を迎えたこの日、朝から混雑を覚悟で行って来た。
結論から言うと。この作品は”観るべき!”だ。
冒頭は例のゴアとの大統領選挙のゴタゴタ、そしてそれに続くビン・ラディン一族とのつながりを示すネタ、戦争による利権との繋がりなど胡散臭いところを、そして911テロ発生直後の映像を使いブッシュ自身の無能さを、Samplingネタとしてブッシュ、米政府高官などの映像を切って貼って、イラク戦争に於ける疑問をここまでやって大丈夫なのと観ている方が心配するほど徹底的、メタメタにやっちゃってます。
そして戦争という事実、その重さを現場から衝撃的に見せられます。米軍の戦死者の家族の悲しみ、兵士自身の疑問、家族を殺されたイラク人の悲痛な叫びなどリアルで、胸が締め付けられる思いです。前作から指摘されていた恐怖の刷り込みと、それを背景にした武力行使、何のために戦っているのか、現場レベルでは戦争の意味合い云々する以前に目の前の敵(?)と戦う事が第一義となるのは無理もないのですが、そこに派遣され、異国の地で他人の命を奪い、自分の命を落としている若者と、それを動かしている政治家とのあまりのギャップ、そしてそんな軍隊に行くしかない貧困層の問題があり、その反面、戦争の裏で金儲けをしている富裕層がいるという事実などなど、憤り、怒りを感じます。
とは言え、リアルな事が実は笑っちゃうしかないという場面もいっぱいあって、笑える場面も多いのですが、クーラーの効いた映画館で涼しい顔で観ている事に後ろめたさを感じてしまうのも事実・・・。これをエンターテイメント作品として良いのか・・・
この映画はカンヌの事もあり、日本ではそれこそ流行、社会現象として消費されていくんだと思うのだが、実のところそれでもぜんぜん構わないと思う。流行りでもなんでもとにかく多くの人が観るべきだな。なぜなら動機がどうあれ見た人はなんらか考えざるを得ない話ですから。日本人は私も含め他人事と思っているふしがあるが、紛れもなく加担しているのである。そのことの意味合いを、マスコミのいう事を鵜呑みにするのではなく、自分の頭で考えることが大切なのだ。
とにかくこれは”観に行くべき!”です。




コメント (5)
「観るべき」ですか。そうですか。
わかりました、観ましょう。JMさんが言うんだもの。了解です。
「ボーリング」の方はそれ程あちこちで上映されてなかったけど、「華氏」はさすがに、かなりの数の劇場で上映されるみたいですね。
投稿者: きみ駒 | 2004年08月15日 09:53
日時: 2004年08月15日 09:53
ぜひご覧下さい。感想楽しみにしております。
投稿者: JM | 2004年08月15日 14:21
日時: 2004年08月15日 14:21
こんにちは。
Reviewありがとうございます。
JMさんがそこまで押しているなら...
観に行かなくちゃ。:-)
ただ、子供たちの夏休みが終わってからね。(笑)
投稿者: Kanko | 2004年08月15日 15:08
日時: 2004年08月15日 15:08
kankoさんコメントどうも。観るしかないですね。
しかし子供の世話と英語とBlogといろいろ大変ですねー。えらい。
投稿者: JM | 2004年08月16日 12:05
日時: 2004年08月16日 12:05
冷房の効いた映画館で見てるのがうしろめたい・・・けっこうなことです。あなたが「うしろめたさをみじんも感じもしない人間」ではなかったことは、むしろ幸いではないでしょうか。ならばこそ、あの映画のエンドクレジットの最後のメッセージを受け止めるといいでしょう。いわく、「DO SOMETHING」。
投稿者: 九郎政宗 | 2004年08月22日 19:25
日時: 2004年08月22日 19:25