![]() | 東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~ リリー・フランキー 扶桑社 2005-06-28 by G-Tools |
本屋に平積みされていた段階から「買ってくれー」と呼びかけられているような気がしていたリリー・フランキーによる「東京タワー」、面白いに違いないと確信していた訳だが、思ってた以上の作品でした。感動作などとありきたりの表現では物足りない、心をギューっと掴まれ、泣かされる事を保証します:)
それにしてもリリーさんの文章は素晴らしい。飾りのない素のままの親子関係、出てくる人々の活き活きとした描写、生活感が溢れまるでその場に居合わせた様な表現、かつて自分が経験した時代との符合など、誰しもが共感する世界を描き出している。
そして話のメインテーマであるのはリリーさんとおかんとの深い愛情物語。人間関係の中で一番近いのは親子関係であるが、近いが故に普段は希薄になりがちになる。子を思い、親が子を思う、基本でありながら何事もなければ日頃振り返らないこと。普段はそんな風に忘れがちになり、便りの無きことが平静な証拠だなどと日々過ごしてしまっている者にとって大切なことに気付かされる。リリーさんの家族を舞台にした極めて私的な物語でありながら、こんなにまで濃く、深くあった親子の愛情物語は、普遍的に読むものの心を揺さぶり、感動させずにはおられない。
誰しもが親の子である。これを読んだ読み手が100人いれば100通りの親子関係があり、そして100通りの愛情物語がある筈だ。タイトルになっている東京タワーも同様である。東京という稀にみる大都会に集まって来た人々の象徴のようなもの、その下では様々な物語が繰り広げられ、様々な思いが渦巻いている。ふと目にする東京タワー、そこにも100人居れば100通りの思いがある筈だ。
優れた本とはその本自身の持つ文章中に表現された事のみにあらず、そのことが読者をいかにインスパイアし、作用するかという事なのだ。本書はその意味で、読者それぞれに、それぞれの読後感を与え、その者自身の事に気付き、向き合うきっかけを与える。そんなところがあるからさらに感動が深いのだ。
いずれにせよ愛情に溢れ、ユーモアに溢れ、美しい比喩を使った表現など数々の名文が散りばめられていて、間違いなく素晴らしい作品に仕上がっている。もっとふざけた人だと思っていただが、リリーさんの筆力にはまいった。完全にノックアウト、今年のベスト間違い無し。これは文句無しに”買い”です:)




コメント (4)
これ、あちこちで絶賛されてますね。
JMさんの強力プッシュで、私も是非是非読みたいです。
背中を押してもらってどうもありがとー。
またすごい本があったら、音楽共々教えて下さいませね。
投稿者: ワルツ | 2005年12月05日 17:22
日時: 2005年12月05日 17:22
ワルツさん
これはオススメですよ。優しい気持ちになれるんじゃないかな。
是非読んでみてください:)
投稿者: JM | 2005年12月06日 01:41
日時: 2005年12月06日 01:41
こんばんは。JMさんの文章にインスパイアされて、手にとって読んでみましたよ。
本当に素晴らしかった・・・この本に出会えたことを幸せに思うのみですね。
あ、あとstones throwパーティーのレポート楽しみにしてます。
投稿者: k | 2005年12月08日 23:20
日時: 2005年12月08日 23:20
Kさん
読まれましたか。そう言って頂けると嬉しいな。
ほんとしみじみ良い本でしたね。
StonesThrow行けるかなー。
寒い晩に出て行くことを考えると気合い必要です:P
投稿者: JM | 2005年12月10日 07:35
日時: 2005年12月10日 07:35